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腸内環境の整えは食生活の改善から。腸が喜ぶ食改善術。

管理栄養士
馬場真佐美

病院に行くほど激しい症状があるわけでもないし。

お薬に頼りたくない。

ほとんどの方がそう思いながら、過ごしているのかもしれませんね。

便秘は、大腸に便が長期間滞った状態。

便は食べ物から成り立ちます。

食生活の改善で便秘や便性に変化がみられるはずです。

便秘とさよならをするために腸内環境の整えを食生活の改善から始めてみませんか。

皆様へ腸が喜ぶ食改善術をお伝えします。

食べ物から便になるまでの流れ

まずは、身体の中での食べ物のゆくえを順番に考えてみましょう。

  1. 口から食べた食べ物は、口腔内で咀嚼してからゴックンと飲み込みます。
  2. 食べ物は、食道を通って胃袋に送られます。胃では、食べ物が消化・分解されて、ドロドロ状へと吸収されやすい形状に変化します。
  3. ドロドロ状の消化物となった食べ物は、十二指腸に送られて膵液や胆汁酸などによりさらに消化がすすみます。
  4. いよいよ消化された食べ物が小腸に送られて栄養源として吸収されます。おおよその所要時間は、約6時間といわれています。
  5. 栄養源が吸収された残りが大腸へと送られていきます。大腸を12~24時間かけて通過する間に水分が再吸収されて便となって直腸へ到達します。

これが、食べ物から便になるまでの流れです。

何らかの原因によって便が大腸内に滞っている状態が続くと水分が再吸収されて
便がどんどん硬くなってしまいます。

硬くなった便は排便の際に大きな力が必要となり、苦労することになってしまいます。
場合によっては、肛門を傷つけてしまうこともあります。

日本人の約40%が痔に悩んでいるといわれていますが、最大の原因は便秘です。

痔の予防のためにも、便秘を解消しておきましょう。

また栄養状態への影響も重要な問題です。

腹部の膨満感や不快感があると食欲が低下してしまいます。

食事量が減ると腸管への刺激が少なくなり、ますます便量が減って便秘が悪化してしまいます。

食事量が減ると身体にとって必要な栄養素が摂取できないために体力や免疫力が低下する危険性があります。

食事量が減るということは、便秘の悪化と同時に必要な栄養量の確保ができないといった結果となるのです。

若い女性や高齢者の低栄養状態に便秘がかくれていることが多いものです。

さらには、精神面にも影響を及ぼします。

気持ちが消極的になってしまったり、憂鬱になってしまったりすると活動量や運動量までも減ってしまいますね。

便秘は健康上のさまざまな面において悪循環を及ぼすのです。

便秘くらいと軽く考えずに早めに解消しておきたいものです。

便秘とさよならをするために。腸が喜ぶ食改善術。

便秘とさよならをするということは、便の腸内停滞時間を短くする方策を考えることが先決です。

腸内停滞時間を短くするには、腸の蠕動運動という便を送り出す動きが活発になる必要があります。

そして腸が活発に動くためには、腸内環境を整えることが必要になります。

冒頭にお伝えさせて頂いたように便は、もともと食べ物です。

食べ物の内容によって便性が異なります。

また食べ物の内容によって腸が喜んで動くようになります。

ポイントは、ご自身のタイプ、状態などを理解して取り組むことです。

一般的にいわれていることが、誰にでも同じような効果があるとは限りません。

そのことをお考えになりながら、腸が喜ぶ食改善術へと読みすすめて下さい。

腸が喜ぶ食改善術その一・・・“ご自分の便秘のタイプを知ること。”

便秘のタイプによって食生活上のポイントが異なるので注意しましょう。
便秘の原因が、食べ物の量や質、運動量に起因する場合とストレスによるものとに二つに大別されます。

タイプ1
まず腸管の動きが悪く、腸の内容物が長期間停滞し、硬い便になってしまう弛緩性便秘習慣性便秘ともいわれる直腸性便秘がございます。
この場合には、十分な水分と食物繊維を摂取することが必要です。
このタイプには、生活リズムを整えたり、運動や腹部のマッサージが効果的です。
食生活改善の目指す方向性は、便量増大と腸管への刺激です。
タイプ2
過労やストレスが原因のけいれん性便秘がございます。
けいれん性便秘の場合には、ストレス軽減と休養が優先です。
運動や腹部のマッサージなどは、効果が期待できません。
食生活改善の目指す方向性は、腸管に無理な負担をかけない(物理的刺激を避ける)ことです。

腸が喜ぶ食改善術その二・・・“ご自身のタイプに適した食改善をすること。”

 いかなるタイプの便秘でも共通して有効なことは、生活リズムを一定に規則正しくすることです。
 食事を三食きちんと食べること。睡眠をしっかりとること。が重要です。
 三回の食事時間の一定にすることにより、腸が働く時間も決まってきます。
 皆さんのお仕事や勉強を想像してみて下さい。
 残業ばかり、宿題ばかりでは、疲れ果ててしまうのと同じです。
 なるべく規則正しく食事をとってみて下さい。特に朝食は、腸への刺激となり排便をおこしやすくします。
 朝食は欠かさないようにしましょう。
 働いたら休むこと。身体にとっての休養は、睡眠です。睡眠をしっかりとりましょう。

タイプ別の食改善の具体策は下記となります。

タイプ1の場合
食事は三食決まった時間に食べることと、適度な運動を心がけましょう。
食事内容は、食物繊維と適度の脂質が同時に摂取できる食事が適しています。金平ごぼう、ひじきの炒り煮、切干大根の炒め煮、炒り鶏などや、ガスを発生しやすい食品のくり、いも、かぼちゃなども適しています。適度の香辛料やアルコール、酸味、脂質が、腸管への刺激となり排便を促します。便性を良好に保つために水分をこまめにとることも心がけましょう。かんきつ類の果物も便を軟らかくする効果があります。
タイプ2の場合
具体的な食事内容は、刺激の少ない食事が適しています。
たけのこやごぼう、きのこ類などは避けて大根や人参の軟らか煮や、里芋の煮物、はんぺん煮や煮魚などの副菜が適しています。
食物繊維は、無理にたくさん摂取せずにペクチンやアルギン酸などの水溶性繊維中心に軟らかい野菜類を選ぶことが大切です。
冷たい食品や脂質の多い食品なども腸管に負担をかけることとなるため控えましょう。
食べ方はなるべくゆっくり、よく噛んで腸をいたわるように食べることを心がけてみましょう。

腸が喜ぶ食改善術その三・・・“栄養学的に腸に良いことを取り入れてみること。”

大腸には、約100種類、約100兆個もの細菌が生息しており、大腸の正常な働きを助けています。
この細菌には、善玉菌悪玉菌と良くも悪くもない日和見菌の三つに分けられます。
大腸での働きはその名の通りで、善玉菌優勢に保ったほうが、大腸の健康には良い状態といえます。
日和見菌は優勢な方の菌の味方をします。
善玉菌と悪玉菌のどちらが優勢かは、なわばり争いです。
どちらが優勢かは個々人で異なります。
善玉菌が多く生息する腸は、腸が活発に動いてきれいな腸を維持しています。
便秘になると、ウエルシュ菌などの悪玉菌が、停滞している便を腐敗させて臭いの強いおならや有害なガス(インドール、スカトール)を発生させます。
悪玉菌は動物性脂肪や糖分の強い食べ物や食物繊維不足の食事、運動不足、睡眠不足、暴飲暴食が大好きです。
悪玉菌が腸内で増えて腸の動きが鈍くなり便秘になることで肌荒れや免疫機能が下がる、気持ちが落ち込むなど全身にまで悪い影響を及ぼします。
善玉菌の働きは、大腸の動きを正常に保つため便秘を解消や悪玉菌の増殖を抑えること。疾病予防や免疫力を高める働きが期待できます。
悪玉菌に対抗する逆の働きをするのです。

善玉菌の代表選手はビフィズス菌などの乳酸菌。

 乳酸菌は、ヨーグルトなどの乳製品や糠漬けやキムチ、納豆のような発酵性食品に含まれます。
 これらの食品のように摂取することで良い効果をもたらす微生物を含有する食品をプロバイオティクスといいます。
 だからといって善玉菌を含む食品をたくさん食べればいいというほど簡単にはいきません。
 せっかく善玉菌を含む食品を食べても腸内に生息する環境がなければ、淘汰されてしまうからです。
 もちろん乳酸菌などを含む食品を食べることは無駄ではなく不可欠なことですが、
 もともと腸内に生息する善玉菌のえさを送り込んであげて元気にしておくこと、
 つまり善玉菌が居心地の良い腸内環境にしておくことが善玉菌優勢にする近道です。
 善玉菌のえさとなって善玉菌の増殖を促して腸内環境を整える役割を果たす食品は
 プレバイオティクスといわれています。
 オリゴ糖や乳糖、食物繊維です。
 ビタミンCやマグネシウムにも腸の蠕動運動を促進する効果があるといわれています。
 食品では、乳糖を含む乳製品や、フラクトオリゴ糖を含む玉ねぎ、ごぼう、にんにくがおすすめです。
 食物繊維も同時に摂取できて一石二鳥です。
 オリゴ糖は消化されにくい糖で低カロリーなのでダイエット中の方にも適しています。

まとめ

それではどういった食事がいいのでしょうか。
ご飯を主食にした和食がベストです。ご飯は、難消化性でんぷんを含むため、
便秘予防に最適。副菜も洋食のサラダよりもお浸しや煮物でしっかりと食物繊維を自然に摂取することができます。
「健康日本21」では、野菜の摂取量を350g以上に設定されていますが、
国民健康・栄養調査の結果などからみると若い世代の野菜摂取量が少ない傾向が顕著になってきています。
便量維持のために毎食片手一杯分の野菜の摂取を心がけましょう。
海藻やきのこ類、根菜類のお料理も一品プラスしてみましょう。
そして食後には、ペクチンとビタミンCを含むかんきつ類の果物を食べてさらに腸への刺激を高めるとすっかり便秘が解消できますよ。

腸からさっぱりと美しく。をイメージして明るい気持ちで食べてみて下さい。
一日三食美味しく気分良く食べて快便に。
便秘に悩む皆様の少しでもお役に立てたならば幸いです。

馬場 真佐美(ばば まさみ)

馬場先生
株式会社栄養ケアシステム研究所 代表取締役 社長
鎌倉女子大学非常勤講師
(医)森クリニック 管理栄養士
おおぞらひまわり保育園  管理栄養士

(学歴)

平成4年 東京家政大学栄養学科管理栄養士専攻卒業
平成18年 東京医科歯科大学保健衛生学科専攻科終了

(資格)

管理栄養士
日本健康・栄養システム学会認定 NCMリーダー
日本糖尿病療養指導士認定機構認定 糖尿病療養指導士

(所属学会・団体)

日本健康・栄養システム学会(評議員)日本静脈経腸学会 日本栄養改善学会
日本臨床栄養学会 医療マネジメント学会 日本ビタミン学会 日本栄養士会

(主な経歴)

平成 4年 国立千葉病院
平成 7年 国立横浜病院
平成16年 独立行政法人国立病院機構横浜医療センター 主任出向
平成18年 日本健康・栄養システム学会臨床栄養師研修事務局
臨床栄養師研修事務局長
医療法人 森クリニック 栄養指導 管理栄養士
おおぞらひまわり保育園 栄養管理 管理栄養士
平成19年 鎌倉女子大学 非常勤講師
(管理栄養学科、家政保健学科、初等教育科)
平成20年 株式会社栄養ケアシステム研究所 代表取締役社長

(専門分野)

臨床栄養学、栄養アセスメント、ライフステージ栄養学

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